歴史と伝統。日本でもこの言葉を冠することができる大会はそうはない。そんな中私はこの四国最強位決定戦こそはこの名前がもっとも似合う大会の一つであると考えている。
 
 毎年四国の強豪プレイヤー達が毎年最後の大会としてあつまる、いわば忘年会的な大会としても受け入れられている。
 もちろんお祭り的な側面だけではない。その年に日本選手権やプロツアーに出場したプレイヤー、その一年の頑張りが反映されるレーティングによって招待されたプレイヤー。四国四県で開催された予選で出場権を得たプレイヤー。そんな彼らがその一年の成果を示すにはもってこいの大会でもある。

 そんな中一つのジンクスが存在している、ここ最近は交通の都合から香川県の丸亀市で開かれているが、その間地元香川のプレイヤーが優勝をしていないというのだ。それは必ずしも香川のプレイヤーが劣っているというわけではない。ここ数年では必ず一人から二人のプレイヤーが日本選手権予選を抜けて出場している。また多くのプレイヤーが四国で行われるPTQやGPTのベスト8にも残っているし、GP二日目に出場するプレイヤーだっている。しかしそれでも香川から最強位の栄光を掴むプレイヤーは出ていないのだ。

 そのジンクスの中、決勝に残った香川のプレイヤーが、新田修平(香川)である。普段は高松市内で活動しFNMや高松定例大会に出場したり、少し足をのばし岡西定例大会に出たりしている。今年は目立った成績こそないが、安定した成績で戦い続けている。もちろん彼が無冠の戦士なわけではない。最後の都道府県選手権優勝者。つまり香川のラストエンペラーと呼べる存在なのだ。
 
 新田が手にしているのは、前環境から使い続けているRBブライトニングである。最近流行りの上陸シナジーは搭載せずに、《ボール・ライトニング/Ball Lightning(M10)》や《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》でダメージやリソースを削るスタイルをとっている。
 今回のスイスドローでは2-2と不満足の結果だったが準々決勝では河野(徳島)のジャンドを、準決勝ではスタンダード全勝だった渋谷(徳島)の発掘を倒している。

 一方全香川県人の期待を受ける新田に立ちはだかるのが高橋一志(高知)である。普段は兄とともにMagicに触れ合っているという彼だが、この大会のために前四国最強位の大野(高知)と調整してきたという。また四国のTOPプレイヤーである高山(高知)は彼を高知最強の一人と呼んでいる通り実力は十分であり、前回の最強位のベスト8にも入っているほか過去にPTQの決勝に進出したこともあるほどだ。
 
 
 高橋の今回の最強位に持ち込んだのは世界選手権以降現れ始めたエスパーコン。さまざまな軽量除去やカウンターで序盤を耐え、最終的には《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》や《ジュワー島のスフィンクス/Sphinx of Jwar Isle(ZEN)》、《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths(ZEN)》、またはPWでゲームを決める。

 多くの観戦者が見つめる中2009年の四国の最強を決める戦いが始まる。

Game1

 先攻をとったのは高橋は、このゲームで最重要なカード《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》を含むハンドをキープ。しかし後攻の新田はダブルマリガン。ただでさえ攻める新田はリソース不足になるために、これは非常にきついゲームになりそうだ。
 
 高橋はとりあえずタップインランドをセットしたところからスタート。返す新田はダブルマリガンながらの《ゴブリンの先達/Goblin Guide(ZEN)》スタート!このクリーチャーが除去できないのは、どんなデッキでもつらい。
 
 しかしこのゴブリンの効果でめくれたのは《苦悶のねじれ/Agony Warp(ALA)》。これには新田の手札を見ていた香川勢がため息を漏らす。なぜならば彼の手札は《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental(CON)》や《地獄の雷/Hell’s Thunder(ALA)》などのクリーチャーにダメージソースを頼っているためだ。
 
 もちろん高橋は《島/Island》をセットし、《苦悶のねじれ/Agony Warp(ALA)》を構える。これには新田は無駄なアタックをして、少しでもハンドを生かさなければならない。《先達で捲れたのが《水没した地下墓地/Drowned Catacomb(M10)》。意気揚々と手札に土地を加えた高橋は予定調和てきに《苦悶のねじれ/Agony Warp(ALA)》で除去し、新田はターンを返す。
 
 順調に土地を伸ばし《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》に備える高橋、そんな中でも、新田は《ゴブリンの先達/Goblin Guide(ZEN)》と《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental(CON)》をプレイし、即アタック。ライフを13まで落とすも、捲れるのはまたも《苦悶のねじれ/Agony Warp(ALA)》。再度香川勢がため息を漏らす。
 
 次のターンの新田のフルアタックも2ターン目と同じく《苦悶のねじれ/Agony Warp(ALA)》で捌き、いよいよ先攻5ターン目に高橋は《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》をプレイ。これに新田は非常につらい顔をする。
 
 新田の手札に除去がなければゲームが決まってしまうが…
 次のターン、高橋のプレイする《自我の危機/Identity Crisis(ARB)》が新田の抵抗を不可能とした。

高橋 1-0 新田

 高橋は《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》や《忘却の輪/Oblivion Ring(ALA)》などの重い除去を《天界の粛清/Celestial Purge(M10)》と入れ替え、PWの《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess(M10)》を同じくPWの《ソリン・マルコフ/Sorin Markov(ZEN)》に入れ替える。 
 一方の新田は対コントロールの《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster(ZEN)》と対《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》の《マラキールの血魔女/Malakir Bloodwitch(ZEN)》を投入する。

Game2
 
先攻、後攻ともにマリガン後の手札をどちらもキープ。攻める側の新田のファーストアクションは2ターン目の《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental(CON)》で攻め立てるものの、3ターン目には土地がストップしてしまう。そしてもう一体プレイした《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental(CON)》は《天界の粛清/Celestial Purge(M10)》で対処され攻め手をそがれてしまう。

 一方高橋は《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(M10)》をプレイし自分だけ1ドロー。ただでさえリソースが少ない新田はこれに対して蘇生した《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental(CON)》でアタック。しかし、返すターンもう一体の《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(M10)》をプレイ。カードを引き延ばす。

 ドローにて、やった3マナに達した新田は《噴出の稲妻/Burst Lightning(ZEN)》で再度《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren(M10)》を落とすが、次のターンは第5ターン目、《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》は出てくる可能性がある。 
  
 高橋は5マナをタップし《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》ではなく《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths(ZEN)》をプレイし、ハンドを整える。これではアタック出来なくなるために《終止/Terminate(PLS)》をプレイする新田。

 新田の手札には《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster(ZEN)》がいる。もう一枚の土地を引き、相手の土地を飛ばし動きえを止めたいところだが、ドローは《稲妻/Lightning Bolt(M10)》。三度観客からため息が漏れる…結局ドローゴーするしかない。

 そして6マナに達した高橋のプレイするのはGame1を決めた《自我の危機/Identity Crisis(ARB)》!対応して新田は《稲妻/Lightning Bolt(M10)》をプレイし、高橋のライフを11にする。
 
 一方的なトップデッキ勝負になってしまった新田。どうにか新たなクロックとして《地獄火花の精霊/Hellspark Elemental(CON)》をプレイするも、返す高橋は2マナを残しながらの《失われた真実のスフィンクス/Sphinx of Lost Truths(ZEN)》ノンキッカープレイ。そして手札の整った高橋の場に舞い降りるのはゲームを決める天使だった。

高橋 2-0 新田


 現在常在のデュエルスペースを持たない高知県勢、そんな彼らも状況を変えようと必死に頑張っている。四国最強位の大会中にも加地(香川)や藤井(香川)達とカードショップの在り方について話し合っていた。カードショップがなくなったためにゲームを継続するのが難しくなった地域出身の私としてはぜひ応援したいし、頑張ってほしいと思っている。

 そしてまた来年も香川での四国最強位が開催されることが発表された。少し変化する招待形式だが、それでも多くのプレイヤーが参加すると信じている。
 
congratulation高橋!

コメント

Ryo
2009年12月7日22:58

>四国のTOPプレイヤーである高山(高知)

おいwwwずいぶん斬新なイジメじゃないかww

カブル
2009年12月7日23:07

じーぴーてぃーで2回も優勝したプレイヤーはどうみてもトッププレイヤー

わっきー
2009年12月8日6:09

とてもオブジェクトぷれいやーに決まってんだろ!

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