2月28日竜星のあらしで初めての競技RELの大会が開催されます!それに先立ちちょっとした注意点等をまとめました!

まずは・・・理念的なお話

 マジックザギャザリングはルール適用度という概念を用いて大会を区別しています。例えばFNMやゲームデーは一般RELが適用され、ニコニコ生放送等で中継があるプロツアーはプロRELとなります。なぜこのような違いがあるか、思うに、それぞれ大会参加者の層の違いにあるのではないでしょうか、一般RELが適用される大会ではほとんどが知り合いということがありませんか、一度は手合せしたことがあるプレイヤーばかりではありませんか?、しかし、大きな賞品がかかった大会では県外から遠征してくる全然知らない人も参加します。そういった場合には、普段とは微妙にちがった慣習があったりします。慣習の違いに対して、郷に入っては郷に従えとしてしまうと遠征してくる人はいなくなってしまいます。そこで、マジックではルール適用度を上げることで悪く言えば厳格な、よく言えば均等なプレイを保障しているのではないでしょうか。
 ここで一つ抑えていただきたいのは、あくまでマジックのルールはみんなが楽しむためにあるものであること、そして我々ジャッジはその趣旨を踏まえて裁定を出しているということです。あなたを貶めるためではないということです。公平で楽しいマジックを実現するために少し厳しいルールがあるのだと考えていただけると助かります。

 さて理念の話で長くなりましたが、原則として、競技RELといえどもすぐさま『ゲームの敗北』という裁定が下ることはほぼ稀で、経験上実際に裁定として出されるものも『警告』です。例外としては、故意の違反と考えられる類型や、故意の違反を隠ぺいさせるものであるとの類型、ゲームを復元するのが著しく不公平かつ難しい場合等がありますが、アッとうっかりではほぼありませんのでご安心ください。それでは大会前日から当日の流れを見ながら競技RELの注意点を上げていこうと思います。

あと注意書きです。
この物語はルールに関する部分以外はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

-―大会前日――

 大会に予約を済ませた安芸は初めての競技RELの大会に参加するということで緊張していた。
「初めてGPTって大会に出るけど、スタンダードの大会だったな…特製の黒単デッキで勝てるといいんだけど、寝る前に少しひとり回しでもするか」
 安芸が前々から組んでいたデッキは実は有名なプロプレイヤーも使っていた黒単戦士デッキ、バイトもしているけど高校生の安芸は予算の関係上単色のこのデッキしか組めなかったようだ。
「さてひとり回しもずいぶんしたし、今日はもう寝よう…」

―ちょっと待った!―
 大会前日には大会に持っていく荷物を確認しましょう!朝からの大会当日に準備をすると痛い目にあいますよ!大会前にチェックしてほしいのは以下の点です!

・スタンダードのデッキ
これは当然ですね、デッキがないと構築の大会は出られません
・サイコロなどの小物
 一般的には先行後攻を決めたりするのにサイコロを用います。またプレインズウォーカーの忠誠値や各種カウンターとしてサイコロ使うのがわかりやすくていいでしょう。
・スリーブ
 スリーブは出来るだけ新しいものに、昔の偉い人の言葉によればスリーブ代も参加費と考えよ。摩耗度の激しいものについてはジャッジから交換をお願いすることもあります。また、スリーブにカードを入れる際にはその前にスリーブだけの状態でシャッフルすることをお勧めします。あなたがスリーブにカードを入れる前にデッキリストを書いているとしましょう、カードはスペルと土地でわかれていませんか。その状態のままスリーブの風を切って入れてしまうとたとえばスペルと土地が違う袋のスリーブに入ってしまうことになります。この場合に、土地だけ区別をしていたとして重い懲罰が下されることもあるのです。
・ボールペン
 結果登録用紙への記入やライフのカウント、メモ等様々な用途で用います。
・メモ帳(ライフをカウントしたり公開されたカードの情報をメモしたりします)
 競技RELでは電子機器の使用は禁止されています、なのでスマフォのライフカウンターは使用しないでください。ダイアル式のライフカウンターを用いることも可能ですが、メモによってライフの経緯がわかったほうが何かが起きた場合により強い証拠となります。また《思考囲い/Thoughtseize》で対戦相手の手札を見た際にメモを取ったり1ゲーム目で撃たれた強力なカードをメモしておくのはお得なのでしておくのがいいでしょう。
・デッキリスト
 デッキリストはA4の紙に名前とDCIナンバーとメインボードとサイドボードがしっかりわかる形で記載されていれば十分です。また、記載もボールペンで書くのが望ましいでしょう、鉛筆などではデッキリストを扱う中で消えてしまうこともあります。
 ただ当日にもデッキリストを配布しますのでそれに書いて提出していただいても構いません。

――大会当日――

 安芸は受付開始時間が10時30分だったのでちょうどその時間につき、所定の手続きを経て正式に受付を済ませて開始を待っていた。普段見ない顔もたくさんいる、ジャッジの人によると今回は賞品が豪華なこともあってか県外からもたくさん来ているらしい…。
そうこうしていると11時過ぎになって、最初のラウンドが掲示されました、一回戦は知り合いの波島でした、これは知らない人と当たってなくてよかったと安心した安芸でしたが、波島はいけ好かない感じのプレイヤーで少し苦手意識もあるため、心引き締めて席に着きます。
 さていつも通り、少し遅れて席に着いた波島くんと軽く挨拶してデッキをシャッフルする安芸、対戦相手にデッキのシャッフルを求めて渡し自分も相手のデッキをシャッフルします。ここで問題が発生、なんと安芸が手を滑らせデッキの一番上のカード数枚を落としてしまったのです。
「ごめん!」
 安芸は、ニコ生でプロのプレイヤーがよそ見しながらシャッフルしていたのをよく見ていたので、この時もシャッフル中のカードを見ずにシャッフルしていました。落ちたカードも出来るだけ見ずにデッキの上に戻してシャッフルをし直すことに…

―ちょっと待った!―

 今回対戦相手のデッキを崩してしまった安芸くんはゲームを適正ではない状態にしています。このように、適正ではない状態になった場合には必ず必ずジャッジを呼びましょう。ジャッジを呼ぶ場合にはまず大きな声で「ジャッジ!」と手を上げてください。プレイヤーがたくさんいる大会ではなかなか一回ではジャッジが聞き取れないこともあるので、ジャッジの反応がない場合もう一度「ジャッジ!」と呼ぶのがいいでしょう。
 仮にジャッジを呼ぶべき状況でジャッジを呼ばずに適正な状態に戻した場合ですが、不適正な状態にしたことが故意ではなかったとしても、ジャッジの指示なく、不適正なものを適正に戻す行為は故意の違反となる場合もあります。つまり本来、ジャッジをちゃんと呼んでいれば警告や注意で住むのにもかかわらずゲームの敗北や失格といったより重い懲罰が下される可能性もあるのです。
 何かがあったら迷わず必ずジャッジを呼ぶ!と覚えておいてください。
 ただジャッジは助言にあたると考えられる質問には答えられません。ジャッジはあくまでプレイヤーを公平に扱う義務があるためです。

 安芸と波島はジャッジを呼び、インタビューを受けました。ジャッジは、状況を確認し終わると、今回はカードを見ていないことから問題なしとしてデッキにカードを戻しもう一度シャッフルしなおすことを指示しました。すべてを解決し終わったとにジャッジは、仮に見ていた場合にはゲーム上の誤りであるエクストラルッキングに該当すると付け加えて去って行きました。
 少し動揺した安芸でしたが、特に問題もなかったし、プロがそっぽを見ながらシャッフルしていたのはカードを見ないためなんだと納得してゲームを始めます。
 ゲームの方は《エレボスの鞭/Whip of Erebos(THS)》と《血の暴君、シディシ/Sidisi, Brood Tyrant(KTK)》が入った波島のライフゲイン攻勢に苦しめられたものの、波島の土地事故にも助けられ安芸がどうにか2勝1敗で勝利しました。
 「君のビートダウンに負けるなんて今日はツイテないね」
いつものようにいけ好かない感じで感想を言う波島に対して、さっさとこの場を立ち去ろうと思った安芸はデッキやメモ帳を片付けて席を立つことにしました。

―ちょっと待った!―

 マッチを勝利したプレイヤーが結果登録用紙を提出するのが望ましいです。ジャッジは訂正が入っていても一度提出されていたとしてもサインが入った登録用紙は正しいものとして受け取ります。

 安芸は結果登録用紙を所定の場所に提出し他のゲームの観戦にまわりました。するとひときわ騒がしいテーブルが、そこの席では最近流行のアブザンアグロを使う澤村と青黒コントロールを使う霞ヶ丘だった。
「あの二人またいざこざがあったのかな?」
安芸が観戦にまわると、ちょうど霞ヶ丘がプレイした除去スペルで《ラクシャーサの死与え/Rakshasa Deathdealer(KTK)》が破壊されようとしていました。澤村は森が2枚アンタップであるだけで再生用の黒マナがないと考えたようです。ですが安芸は霞ヶ丘のコントロールする土地に《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》があることに気が付きました、思わず安芸は「英梨々、その森から黒マナが出るから再生できるじゃん」と言おうとして・・・。

―ちょっと待った!―

 現在安芸くんはルール上「観客」として扱われます。そしてイベント規定上観客は『マッチの進行中ならびにイベント進行中、プレイヤーも静寂を保つことが求められている間静寂を保たなければならない。ルールやポリシーの違反を見つけたと思った場合、可能な限り早くジャッジを呼ぶことが望ましい。一般あるいは競技RELにおいては、プレイヤーにマッチの進行を止めるように要請しながらジャッジを呼んでもよい。』とされているのでこのようにプレイのアドバイスとして話しかけるのは禁止されています、また所謂誘発忘れはルールやポリシーの違反には該当しないのでそれを見つけてジャッジを呼んではいけません。

「ターンさえ返ってくれば再生できるはずだった《ラクシャーサの死与え/Rakshasa Deathdealer(KTK)》を除去するなんて~霞ヶ丘詩羽―!」
「そんなクリーチャー除去するチャンスがあるなら除去するのは当然じゃない澤村さん?」
 除去によって攻撃手段を失った澤村に霞ヶ丘がコントロールしきって無事勝利と思いきや、この時点で50分が経過しました。そこで、ちょっと飲み物を飲みたくなった安芸はお店の外の自販機へコーヒーを買いに行こうと・・・

―ちょっと待った!―

 競技RELでは遅刻も懲罰の対象となります。少なくともラウンド終了後にプレイエリアを離れるのは危険です。出来るだけラウンド終了前に用事を済ませておくのがよいでしょう。

 ペアリングがすぐ掲示されたこともあって外に出るのは辞めた安芸、しかしここで勝ったはずなのに自分の使う席のテーブルナンバーがやたら後ろなのに気が付きました、まぁいいやと気にせず席に向かう安芸でしたが…

―ちょっと待った!―
 
 結果登録用紙を使っていたとしても入力するのは人ですので間違いもあります、毎ラウンドごとにペアリングには現時点でのそのプレイヤーの点数も書かれているはずですからそれを確認するようにしてください。

 よく見ると自分のポイントも対戦相手も0となっていたのに気が付いた安芸はすぐにジャッジを呼び訂正してもらいました。改めて掲示されたペアリングでは3番テーブルと書かれています。
 今度の対戦相手はよく知らない姫川というプレイヤーです。席に移動してデッキを取り出しシャッフルする安芸、いつも通り対戦相手にデッキを渡そうとするとジャッジが突然「デッキチェックです」と間に入ってきました。

―ジャッジからのお願い!――

 競技RELでは大体毎ラウンドごとにデッキチェックが行われます。そこではデッキリストと照合してデッキの内容が適正であるかや、マークがされていないかシャッフルが十分されているかが確認されます。このような措置がより適正なゲーム運営には必要不可欠となりますのでご協力をよろしくお願いします。

 デッキチェックの結果、特に問題がなかったということでジャッジがデッキを返却しよくシャッフルすることと延長時間は7分と指示していきました。
 ゲームの方はジェスカイコントロールの姫川に対してサイドボードカードが有効に働いた安芸が勝利し、これで安芸は2連勝です。

 そしてどんどんラウンドが進み、いよいよ第6ラウンド、ここまで4勝1敗となっていた安芸でしたがここで対戦相手は3勝2敗で知り合いの氷堂というプレイヤーでした、合意の上での引き分け(ID)さえすれば8位以上になれると考えた安芸はどうにか引き分けにしてくれないかと頼むことに、その時安芸は「最悪何か欲しがっている者をあげると言えば引き分けにしてくれないかな」と考え、そういう交渉をしようとしましたが…

―ちょっと待った!―

 マジックにおいては対価を提示し、又はこれを求めて勝敗を決定するのは買収に該当し、ある一部の例外を除く禁止されています。これは仮に対価を提示しただけで一発で失格になりますし、かつこれを承諾したプレイヤ-も失格の対象となります。また、IDに関連してほかのゲームの状況を調べるのも禁止されています。

 氷堂はまだトップ8の目があるとIDを拒否してきたので対戦することになりました。氷堂のジェスカイアグロに対して適切に除去を引き当てた安芸が無事勝利、5勝1敗でスイスラウンドが終了しました。

 その後トップ8が発表され安芸は15ポイントで1位での通過となりました。対戦相手はもうこれ以上負けたらだめという状態から連勝でここまで来て8位だった加藤というプレイヤーです。
 指示された席に座りゲームを始めるためにいつものようにデッキを出した安芸は、なんとなくサイコロを出し「先攻後攻は目が上の方のプレイヤーが決められるってことで」と言うのですが…

―ちょっと待った!―

 全てのイベントにおいて、『決勝ラウンドのマッチにおいては、スイス・ラウンドで上位の成績を収めていたプレイヤーが第1ゲームの先攻後攻を決定する。第2ゲーム以降は、前のゲームの敗者が次のゲームの先攻後攻を決める。』とされていますから、この場合安芸くんが先攻後攻の選択権があります。

 先攻を選んだ安芸は先攻の分のテンポの良さで赤白ビートダウンを使う加藤に無事勝利、準決勝にコマを進めるのでした。
 準決勝も無事勝利した安芸に決勝戦で立ちはだかるのは紅坂というすごく派手で大人のプレイヤーです。しかも相手は同型の黒単ビートダウン、少しだけ相手にはオリジナル要素があるようです。ジャッジから賞品分配を決めた上で対戦することを指示されました。どうやら『例外として、シングル・エリミネーションの最終戦と告知されているマッチにおいて、賞を任意に分け合うことが認められている。この場合、そのテーブルのプレイヤーのうち1人はイベントを退出することに同意しなければならない。その後、プレイヤーにはその結果の順位による賞が与えられる。』とのことでした。
 「どうしますか」と提案した安芸に、紅坂は「勝った方がほしいものを全部持っていくっていうのはどう?それがわかりやすいわ」と返答してきました。欲しいものっていうのは多分GPという大きな大会の不戦勝だったり副賞の豪華賞品だったりするのだろうと考えた安芸はそっちの方が面白いと考え、その提案に乗ることにしました…



 


 少し長くなりましたが、とりあえずここまでで競技RELで注意する点は終了です。基本的にはマジックを楽しむというのはそのルール適用度に左右されません、しかしより多くのよりさまざまな人が参加するイベントであってはその公平さを担保するためにはすこし注意する点が多くなるだけなのです。
 普段よりちょっとした注意をして、より多くのプレイヤーとゲームを楽しみましょう!

コメント

k谷(迫真)
k谷(迫真)
2015年2月26日12:35

素晴らしい紹介文ですね
遠征するかもしれない子達に拡散しますね!

カブル
2015年2月26日15:41

ありがとうございます!

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